七夕の純愛

年に一度だけ、逢いましょう……。

そうして二人は、別々の道を歩んでいきました。

人生において、出逢う順番が違ってしまえば、そうして止めるすべもなく燃え上がってしまえば、いけないものとされるのです。

それがたとえ、お互いにとってかけがえのない深みであったとしても。

……それから幾度、織姫と彦星のように、雨夜にまぎれて、ぬかるむ足を忍ばせながら、ふたつの密を重ねたことでしょう。

ふいに、ひとつの命が尽きてしまう、あの日まで……。

今年も夜空では、あの世とこの世と離れ離れになった二人が、想念の中で再会をするのでしょうか。

脈打つ体温の上昇は確かめ合えなくとも、うごめく想いは重なり続けているでしょうか。

二人にしかわからない、愛の形。

生と死ですら、お互いに絡みついた心根を、根底から引き抜くこと、それはできないでしょう。

再会の時、二人の熱情に掻き乱された湿り気が息苦しさを誘い、じっとりと天の川を滲ませるけれど、星の瞬きが遠のくほどに、重なる想いは熱烈な雲霧となるかもしれません。

今宵の星たちは、どれほどまでに潤んだ表情で微笑みをたずさえ、艶かしく片目を瞑るでしょうか。