感じながら歩く

あてどもなく歩く

ただただ気の赴く方へと

時間も忘れ

明日の予定すら度外視で……

すると見えてきたのが暗闇に光る社殿

夜に煌めく誰もいない神社

あぁ呼ばれたのか

ここの神様に挨拶するために……

本殿の正面でお参りを済ませる

すると建物の真裏に招かれる

いやいやまさか

こんな時間に立ち入ってはいけない

理性で思っても足が進んでしまう

怖いと思えばそうなのだが

なぜかこの闇が心地よい

荘厳な陰影を感じながら

漆黒へと分け入る……

奥深くへ静かに到着すると

もう一度神様に手を合わせる

そこにどっしりと佇んでいるのは

一本の巨木と

それに寄り添うように

じっとしている巨石

神の依り代だった……

見上げれば天に浮かぶ朧月

幽玄な雰囲気に呑み込まれて

宇宙と地球に点在するものを線で結ぶ

いったいどこからが宇宙で

どこまでが地球なのか

そんな境目もなく

目に見えるものにも不思議を感じて

目に見えない感覚にも形があるような気持ちになる

物体も心象も明確な区別なんてないのかもしれない

あると思えばあるものだし

ないと思えばないもの

そこにあるものでも不要であれば物体ではなくなり

ないものをあると信じれば絶対的に必要なものになる

不要なものにしがみつく必要はなくて

必要なものなら物体はなくても心強さになる

物体の多い地球に生きていても

心象を創り出して生きていれば

いつだって必要なものはそこにあるのだと

そんなことを感じられる

夜道の行き先だった